何もない暗闇の中。
ただそこに、自分自身が「いる」という感覚のみの世界。
「キミはどらエモンヲシッテイルカ?」
突然、頭の中に声が響く。
機械のような気味の悪い声。
「知らない」
暗闇の向こうに向けて答える。
沈黙。
五感が全て奪われ、永遠とも思える時間が続く。
「おい、どうした?俺は答えたぞ」
返事はない。
気が狂いそうになる。
何故、俺はここにいる。
どうしてこんな所に来たのか全く思い出せない。
そもそも…俺って誰だ?
自分の事すらわからない。
わかるのは「ドラえもん」というものを知らないということだけだ。
「いい加減答えてくれっ!ここは何処だ?」
「……」
今度も返事はない。
だが、先ほどとは違って気配を感じた。
次ぎこそは答えてもらえるかもしれない。
僅かな希望で訊ねる。
「俺は誰だ?」
「キミノトイニコタエルギムハナイ。モウイチドキク、どらエモンヲシッテイルカ?」
また「ドラえもん」だ。
俺自身のことと何か関係があるのか?
元に戻れたら調べてみよう。
今ある唯一の記憶でもある「ドラえもん」…
人の名だろうか?それとも門の名前…
何でこいつらは「ドラえもん」の事を知りたがっているんだ?
これも調べられたら調べる必要があるだろう。
ちょっと待て、今、何でこいつら、と相手が複数だと思ったのだろうか?
俺はこいつらの事も知っている?
「ドウシタ?ハヤクコタエロ」
再度、声が響く。
「お前達は誰だ?」
「シツモンヲシテイルノハコチラダ」
どうも今更だが、こちらの問いに答える気はないらしい。
ますますここから復活する気力が湧いてきた。
「コタエヌノカ?」
こいつらは俺や「ドラえもん」にとって敵だ!
「コタエロ」
絶対の悪だ!
「モウヨイ、カワリナドイクラデモイルノダ。ツギヲモッテコイ」
ブツンッ!
まるでテレビの電源を抜いたときのような音がして俺の意識は消えた。
「15分かぁ」
「初めてにしては長いと思うぜ」
「それにしてもなかなかスリルあるな。でも何でドラえもん何だよ?」
「いいじゃん。じゃあ次は俺が拘束される方でヨシトが犯人な?」
「OK。10分で終わらせてやるよ」
二人の少年が部屋の中に座っている。
真ん中には機械とそれが入っていたであろう箱。
その表には「ドキドキ拘束ゲーム〜君は脱出できるか?!〜(2113年版)」と書かれていた。