暗黒戦士

  1. 〜二十章
  2. 第二十一章 冒険(4)
  3. 第二十二章 目覚め
  4. 第二十三章 突然の来襲
  5. 第二十四章 レミーVSルード

第二十一章 冒険(4)

バタリ…… ジャングルに響いた銃声と共に、薔薇の様に赤い鮮血を飛び散らせながら崩れ落ちた―

そして彼は握り締めていた銃の引き金を引く力も無く、ずっと握り締めていた銃をジャングルの硬い土へ落としながら呟いた。

「先……輩……!?」

―そう呟く暗黒戦士の視線の先には左手で右足を押さえながら銃を握り締めているカズの姿があった。

のび太は暗黒戦士が倒れているのを見て急いで暗黒戦士から離れ、ジャイアンと出木杉は驚きでピクリとも動けなかった。

「神田……」

カズはそう言いながらよろよろと立ち上がり、暗黒戦士を哀れむ様に、いや哀れみながらそう呟いた。

「先輩……。哀れまなくて……いいんですよ……私が……悪いんですから……」

暗黒戦士、いや神田は初めて見せる優しい声で途切れ途切れに哀れむカズへ言った― その姿は、悲しかった……

バタリ…… 銃に撃たれた神田は出血多量で崩れ落ちた― のび太はそれを見るとクラクラとふら付き、気絶した。

「じゃあな、神田……」

カズはそう言うとジャイアンにのび太を担ぐ様に命令し、サイドポケットからどこでもドアを取り出した。

「撤退だ。この状態では進めねぇ……」

そう言うとカズは血、そして涙を流しながら緑色のどこでもドアの向こうへとフラフラと歩いていった。

出木杉とジャイアンはこの闘いの精神的ダメージでふら付きながらもカズの背中に付いて行った。

「俺は……?」

そう呟くのは右足に包帯を巻いてベッドに仰向けになっているカズその人であった。―どうやら治療を受けたらしい。

カズのいる部屋はかなり広く、カズの隣にはのび太達が寝ているベッドもあった。医療用道具らしき物も揃えられているのでどうやら此処は研究所の医療室らしい。

ギイイィ…… カズがホッとした様な顔になった時、医療室のドアが少し軋みながら開いた。

「カズ、大丈夫か?」

そう言いながら医療室に入ってきたのは『研究員』ルードと同じく『研究員』テイルの二人であった。

「で、どうして戻ってきたのか説明してもらえるか?」

ルードはカズに近づくと少し厳しい顔になりながら、カズにそう問いかけた―それを聞くとカズはいきなり悲しい顔になり、まるで呟く様に話し始めた。

「神田が……出たんだよ。それで……俺は攻撃できなくて怪我をしてしまった」

「!!」

それを聞くとテイルとルードは厳しい顔から驚きの顔となり、テイルは「本当か!?」と叫びながらカズに近づいた。

神田― 奴はカズを「先輩」と言っていた事からきっと彼ら研究員の仲間であったのであろう―

「神田は……『暗黒戦士』状態になっていたのか……?カズ」

「いいや、神田は……『暗黒戦士』の服装であったが……『暗黒戦士』にはなっていなかった……」

カズがそう答えると彼らがいる医療室に重苦しい、潰されそうな空気が流れ始めた―

「神田は……俺たちを完全に裏切ってはいなかったんだな……」

ルードはそう、謎の言葉を呟くと煙草に火を付けながら医療室からトボトボと出て行った―

暗黒戦士とは一体何なのか―? そして神田とやらと研究員の間には何があったのか―?

謎は、深まる

第二十二章 目覚め

―どれだけ、僕は寝ていたんだろう。

医療室のベッドでゆっくりと目覚めた少年、のび太は目覚めた後、一番最初にそう思った。

のび太が周りを見渡し、のび太の視界の中に見えるのはぐっすりと気持ち良さそうに眠っている出木杉とジャイアンの姿であった。

隣のベッドは掛け布団がめくれている事から、さっきまでカズが寝ていたという事が伺える。

静かで、色々な珍しい医療道具が置かれている医療室は少年の好奇心をくすぐる。

のび太は体に掛けられている掛け布団を静かに畳み、静かで巨大な医療室をうろつき始めた―

『古代 特殊生体兵器』― 研究所の黒く焦げた実験室のど真ん中のテーブルに、そう書かれた一冊の本があった。

随分と読み古された本らしく表紙は汚れ、ページの幾つかは破れたり焦げたりしてしまっている状態であった。

ギイィィィ 軋みながら開く、薄焦げたドア― そのドアの向こうから実験室へ入ってきたのはニコ博士であった。

ニコ博士は実験室の今にも破れそうな音を出す床を一歩一歩、踏みしめながら実験室のテーブルへ近づいていった。

「……特殊生体兵器か……」

ニコ博士はそう呟くと、『古代 特殊生体兵器』の本を静かに手に取り、ペラペラとページをめくり始めた。

その本のページをめくるごとにニコ博士の眼が悲しく、少し怒りの混じった様な感じに変わっていく―

ニコ博士はこの本が関係する悲しい『何か』を思い出したのであろうか、それとも―?

その『古代 特殊生体兵器』の本の一つ一つのページにはぎっしりと活字と図が印刷されている。

その難しそうな本を、かなり素早くニコ博士は読み取っていく―

「博士」

ニコ博士が本を読んでいる途中に実験室のドアの向こう側から、そう言う研究員の声が聞こえた。

研究員のその声が耳に入るとニコ博士は『古代 特殊生体兵器』を閉じ、実験室のテーブルへ戻した。

「何かね?山下研究員」

「あっはい、ルードさん達が会議室に呼んでいます」

研究員、いや山下研究員がそう言うとニコ博士はゆっくりと実験室から出て会議室へと向かっていった―

「のび太ぁ、何やってんの?」

医療室のベッドから起き上がったジャイアンが医療室を歩き回っているのび太に向けて言った。

のび太は医療室に置いてある珍しそうな秘密道具をいじっている最中であった。

いつもドラえもんの秘密道具をいじっていたので壊す心配などはのび太にとっては無いも同然であった。

「会議室へ来てくれ」

のび太がジャイアンの問いかけに対し、答えようとした時、医療室のドアの向こう側にいる研究員がそう言った。

のび太達は出木杉を起こし、会議室へと歩いていった―

第二十三章 突然の来襲

「兵隊時代の事を思い出すな……」

―『暗黒戦士幹部』レミーは戦闘ロボットの操縦桿を握り締めながら、そう呟いた。

レミーが今、戦闘ロボで突き進んでいるのは地下― 当然、地下に道があるわけは無いが『どんぶら粉』に含まれている成分が戦闘ロボに塗りつけてあるので戦闘ロボは自由に動ける。

『研究所マデ後,約100メートル』

戦闘ロボに取り付けられているナビからそう、機械的な言葉が発された―

カツ、カツ、カツ― のび太達はそう、高い足音をたてながら研究所の廊下を突き進んでいく。

のび太達がこの研究所に来て、二番目に来たのがあの会議室― ニコ博士がハッキリとこの組織の存在の意味を言った会議室。

「何が起こるんだろう」そんな不安が少し混じり合わさった期待感が歩いて行くのび太達に生まれる。

一番初めに、会議室へ連れてかれた時に生まれていた不安と恐怖が今ではまるで嘘の様に消えている。

そう考えながら歩いているうちにのび太達はいつの間にか、会議室の前へと到着していた―

出木杉が少し緊張しながら会議室のドアの取っ手を丁寧に握り、会議室のドアを開いた。

「よく、頑張った」

―ドアを開いた瞬間、会議室から聞こえてきた言葉はニコ博士が言ったその言葉であった。

ジャイアンが会議室を見渡すとそこにはルード、テイル、カズ、そしてニコ博士の四人の姿があった―

そして、会議室のテーブルの上にはのび太達があの時使った『電光丸k‐432』等の三つの武器が置いてあった。

きっと、自分の武器が置いてある場所の前の椅子に座れという事なのであろう。のび太達は、静かに椅子に腰掛けた。

「それでは、始めよう」

のび太達が座ったのを確認するとルードが立ち上がり、煙草を吸いながらそう言った―

ドガガガガガ…… その時であった、何の前触れも無く地響きとともにそんな音が研究所に響いた。

「!!」

ルード達は自分の武器を四次元ポケットから取り出し、のび太達はテーブルに置かれている自分の武器を掴み、固く握り締めた。

ドカァン! 研究所のコンクリートの壁が破壊される音が響き、そしてロボが歩く音も研究所に響いた。

「お前らはそこにいろ」

ルードは適正武器『ハンマーb49』を構えながら会議室にいる人達へ、そう小声で言った―

のび太達はガクガク恐怖で震えながら頷き、ニコ博士達は落ち着いて武器を構えながら頷いた。

―ルードは会議室のドアを静かに開き、会議室の外を見渡しながら出て行った。

レミーが扱う戦闘ロボは研究所の中を破壊しながら、研究所を進んでいた― 今のところ、レミーは研究員を一人も見かけていない。

見かけているのは自分と同じように首領に「研究所を襲撃しろ」と命を受けて研究所にやって来た暗黒戦士達だけであった―

何所に研究員はいるのだろう― レミーがそんな事を考えながら研究所を進んでいると、いきなり足音が聞こえてきた。

戦闘ロボの耳障りな足音では無い、研究員の静かで高い足音だ― レミーはガッツポーズをし、その研究員の足音が聞こえてくる方向へと歩いて行った―

ガシャン、ガシャン― 戦闘ロボの騒がしい足音がルードの耳に聞こえてきた。ルードはハンマーを固く握り、音が聞こえてくる方向を睨み始めた。

段々大きくなっていく不気味な足音、ルードは少し恐怖を感じながら戦闘ロボが来るのを待っていた―

そして、戦闘ロボが曲がり角から姿を現した― 

―レミーはハンマーを構えている研究員の姿を見ながら不気味な笑みを浮かべた―

第二十四章 レミーVSルード

「では、死んでもらおうか♪」

レミーはまだ不気味な笑いを浮かべながら、目の前にいる研究員をこのロボットで殺す準備を始めた―

―ロボットの手が研究員に静かに向けられた。

ルードの手から一滴の汗がポツリと落ちた。

手に握られているハンマーはいつでも攻撃できるように構えられている―

(早く、この暗黒戦士をぶっ潰さなきゃな。この調子じゃ他にも基地内にいる……)

―ルードはそっと舌打ちをし、一歩ずつ暗黒戦士のロボットに近づいていく。

向けられたロボットの手は悪魔の様な雰囲気を漂わせ、まるでパンドラの部屋にいる様な感覚にルードは襲われた。

レミーは少し、驚いた。

こちらが攻撃しようとしているのに、あの研究員は近づいてくるのであった―

「まぁ、いい。チャンスの筈だ」

レミーはそう呟くと、まずロボットの【攻撃I】と印刷されているボタンを静かに押した―

「!!」

ルードはいきなり、ハンマーで攻撃しようとした。

いきなり変形し始めたロボットの様子を見て、攻撃される前に倒そうとしているのであろう。

(運が良い事に、このロボットは変形するのに時間がかかる様だ)

―ルードはハンマーを思いっきりロボットの腕に叩きつけた。

「無駄だって」

レミーはハンマーをロボットに叩きつけた研究員の姿を見て、ケラケラと笑い出した。

―多分、このロボットは固い物質で作られているのであろう。

「もう、そろそろかな」

―ロボットの腕の変形が、止まった。

「大砲か……?」

ルードは完全に変形し終わったロボットの腕を見て、そう呟いた。―確かに暗黒戦士のロボットの腕は大砲の様な形になっている。

ルードは急いでハンマーで攻撃するのを止め、ロボットの腕の下に潜り込んだ。

「ここなら、どんな大砲でも攻撃できないよな」

ルードは、静かに呟いた―

「死角に潜り込んだか、あの研究員」

レミーは研究員が画面から突然消え去ったのを見て、そう呟いた。

―だが、レミーは落ち着いてロボットのボタンをまた一つ押した。

画面が切り替わり、ロボットの腕の下の映像が画面に現れた。―研究員が座っている。

「さて、攻撃開始♪」

レミーは【攻撃I】のボタンをもう一度、静かに押した。